目次
1.瑞泉寺庭園とは

今回は神奈川県鎌倉市にある庭園、瑞泉寺庭園を取り上げます。
庭園のある瑞泉寺は鎌倉の東部、『紅葉ヶ谷(もみじがやつ)』の最奥にあるお寺です。
お寺の境内は鶴岡八幡宮や鎌倉大仏(高徳院)などから離れているため、訪れる方は多くありませんが、このお寺には他にない迫力ある庭園があることで知られています。
庭園を造ったのは室町時代初期を代表する禅僧・作庭家である夢窓疎石(むそうそせき)。現存する庭園の全てが名庭園と評価される彼の庭園の中でも一際異彩を放つ庭園をご紹介していきます。
庭園のある瑞泉寺は創建時期を鎌倉時代の末期にまで遡るとされるお寺です。
当初は付近に居を構えた幕臣、二階堂氏のお寺だったようですが、その後室町幕府の東国支配体制が固まっていくと、鎌倉から東国を抑えた「鎌倉公方」の菩提寺として整備、その際に疎石による作庭もなされたと考えられています。

尊氏が京都天龍寺の創建を任せるなど足利氏と夢窓疎石にはつながりがあり、初代鎌倉公方の足利基氏も夢窓疎石に帰依したことから、瑞泉寺にも疎石の手による庭園が築かれたとされています。
その後お寺は疎石の弟子ら「夢窓派」の拠点として栄えたとされますが、四代鎌倉公方の足利持氏の幕府への対立に端を発した『永享の乱』により鎌倉公方がいったん滅亡して以降、徐々に衰亡していきました。
衰亡していたのは庭園も同様で、昭和44(1969)に発掘調査が行われるまで庭園は埋没・荒廃していました。
復興された庭園は、書院とセットで楽しまれる『書院庭園』のもと、初期の禅宗庭園の遺構として評価が高く、国の名勝にも指定されています。
2.庭園を歩いて

私が瑞泉寺庭園を訪れたのは2月の中旬でした。
鶴岡八幡宮や長谷寺、高徳院などは国内外からの観光客で賑わいをみせていたものの、そこから東へ向かうほどに人影はまばらとなり、谷の奥まで来る頃には自分ひとりになっていました。
総門から苔むした石段を上がり静かな園路を歩いていきます。
お寺の建物は一般に公開されているエリアは多くなく、足は自然に庭園の方へと進んでいきました。そして曲がりくねった園路を抜けると、目の前に急に大きな岩山が現れます。
事前に少しの下調べはしていましたが、その知識をもってしてもその迫力はけた違いのものでした。
白い岩壁にはぽっかりと大きな洞窟が開けられ、その前には池が掘られています。
そのダイナミックさは、ここが鎌倉内陸の高台の上であることを忘れさせます。
しかしよく見てみれば岩壁の横には小さな橋と階段が設けられており、この庭園が仙界を表す禅宗庭園であることを感じさせます。
臨済宗、特に夢窓疎石は庭を含めた寺院の境内を美しくすることを大切にしており、美しい庭を見て座禅をして詩を詠むことを修行のひとつとしていたといいますが、この迫力ある庭園を見ながら座禅した僧はいったいどんな詩を詠んだのかと考えさせられます。
3.庭園の見どころ

瑞泉寺庭園は「岩庭」と表現できそうなインパクトある庭園全体が見どころです。
禅宗寺院の庭は数多くありますが、ここまでのダイナミックさ、迫力のある庭園はそう多くありません。
しかし、岩盤にくりぬかれた洞窟は座禅道場として用いられたという話が伝わっているほか、岩壁の左側の橋や階段が仙界の雰囲気を醸し出しており、禅宗庭園としての雰囲気を一切損なわずに迫力を感じさせている点はさすがと思わせます。
瑞泉寺庭園は山号を「錦塀山(きんぺいざん)」といいますが、秋のシーズン色づく山を背景に見る庭園は、さらに美しさが増すであろうと感じさせます。
一方で、ほぼ一方向からしか庭園を見ることができず、庭園の中に足を踏み入れることができないのは少し残念に感じるところです。
⒋おわりに
ここまで瑞泉寺庭園について話してきました。
鎌倉は瑞泉寺以外にも数多くの禅宗寺院があり、魅力的な庭園も数多く出会うことができる場所です。
特に瑞泉寺同様に夢窓疎石が築庭に携わったとされる『円覚寺』や『建長寺』庭園は、お庭好きの方であればぜひ訪れて頂きたい庭園です。
名称 | 錦塀山 瑞泉寺(きんぺいざん ずいせんじ) |
住所 | 〒248-0002 神奈川県鎌倉市二階堂710 |
電話番号 | 0467-22-1191 |
営業時間 | 9:00-16:30 |
主なアクセス方法 | 鎌倉駅から徒歩40分 |
関連するサイト | https://www.kamakura-zuisenji.or.jp/ |