目次
1.はじめにーモデルコースの概要ー
この記事では、四国地方西部の玄関口である愛媛県今治市を起点に、本州側の広島県尾道市までを結んでいる『しまなみ海道』ルートを自転車でハーフ縦断するコースをご紹介します。
しまなみ海道は、本州と四国を結ぶ『本州四国連絡道路』の3ルートのうち一番西側に位置しているルートで、正式には西瀬戸自動車道の名で呼ばれています。
愛称は、本州と四国、そして瀬戸内海に浮かぶ芸予諸島の島々を橋で結んでいるルートであることに由来しています。
沿線では島が多く重なり合う美しい景観が楽しめるほか、瀬戸内海独特の温暖少雨の気候を活かしたレモンやみかんなど柑橘類の栽培が盛んであり、四国と本州を結ぶ重要な交通ルートであると同時に、しまなみ海道と沿線の島々そのものも観光スポットとして注目されています。
また、基本的に自転車専用道としてのみ整備されている本州四国連絡橋3ルートの中で唯一自転車道の整備がされており、本州と四国の間を自転車で通行することができるルートとしてもしまなみ海道は知られています。
しまなみ海道の自転車道は、元々沿線の住民たちが気軽に島間を移動するために整備が進められた経緯がありましたが、温暖で少雨な気候は自転車での訪問に適しているほか、しまなみ海道によって結ばれた今治・尾道両市によってレンタサイクルの整備なども進められたことで、サイクリストの聖地として知名度を高めてきました。
平成24(2012)年には台湾の自転車メーカー、GIANTの会長が自転車でしまなみ海道を横断したことが報道されたほか、2年後の平成26(2014)年にCNNによって「世界のサイクリングコース7選」に選定されると、その知名度は世界にまで広がりを見せ、しまなみ海道の名は世界中のサイクリストの知るところとなっています。
今回のモデルコースでは、サイクリストの聖地であるしまなみ海道を、半分だけ自転車で縦断します。
しまなみ海道はルートのすべてを自転車で横断すると、熟練度によるものの4〜10時間程度の所要時間が掛かり、移動距離は70kmにも及びます。
今回のモデルコースでは、体力や時間をそこまでかけなくとも気軽にしまなみ海道のサイクリングと絶景、沿線のグルメを満喫できるコースとして、しまなみ海道をレンタサイクルでハーフ縦断します。
先ほど少しご紹介しましたが、しまなみ海道ではレンタサイクルの整備が進んでおり、沿線の様々な場所でレンタサイクルの貸出・返却が可能です。
好きな区間での利用ができるため、ご自身の体力や時間に合わせて自由に自転車を楽しむことができます。
2.モデルコース
ルート:今治駅→今治駅前サイクリングターミナル→来島海峡大橋→道の駅 よしうみいきいき館→村上海賊ミュージアム→宮ノ窪瀬戸展望地→道の駅伯方S・Cパーク→サイクリストの聖地 記念碑
移動手段:レンタサイクル
所要時間:6時間~
9:00 JR今治駅
ツアーの始まりはJR四国の今治駅からスタートします。
今治は特にタオル製造業と造船業で有名な、愛媛県第二の都市です。
まちの主要駅である今治駅には優等列車を含む全列車が停車し、岡山駅や四国各地から容易にアクセスすることができます。
自転車を借りるサイクリングターミナルは駅前にあるので、自転車に乗る前に水分などを確保しておきましょう。
名称 | 今治駅 |
住所 | 〒794-0055 愛媛県今治市中日吉町1丁目1 |
関連するサイト | https://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/kakueki/imabari/ |
↓徒歩1分程度
9:01 今治駅前サイクリングターミナル(10分程度滞在)
『i.i.imabari! Cycle Station(アイアイ今治サイクルステーション)』を愛称に、令和2(2020)年7月20日にオープンしたサイクリングターミナルです。
レンタサイクルはクロスバイクを中心に約100台が揃えられており、好みの一台でしまなみ海道のサイクル旅に出発することができます。
施設内には更衣室やシャワー室も完備されているほか、自転車の洗車や組み立て、メンテナンスができる設備も揃っており、自分の自転車でここまで来たサイクリストの拠点にもなっています。
ここから5時間のしまなみ海道サイクリングがスタートします。
しっかりと水分を補給、自転車の高さも調整して、出発しましょう。
名称 | 今治駅前サイクリングターミナル |
住所 | 〒794-0028 愛媛県今治市北宝来町2丁目773番地8 |
電話番号 | 0898-34-3190 |
営業時間 | 3月~11月 8:00~20:00 12月~2月 8:00~18:00 無休 |
関連するサイト | https://www.city.imabari.ehime.jp/kanko/spot/?a=22 |
↓自転車で40分程度
9:50 来島海峡大橋(10分程度滞在)
今治市街から北西方向にサイクリングロードを進んでいくと、まず見えてくる橋が来島海峡大橋です。
大島と今治の間、約4kmの来島海峡に架かる吊り橋3本をまとめて、来島海峡大橋と呼ばれています。
橋の下の来島海峡は昔から鳴門海峡、関門海峡と並んで海の難所として有名であり、狭い海域と複雑な地形によって、潮流は速く乱れたものとなっています。
最大潮流速は10ノット(秒速約5m)にも達し、大型の船でも時に操船不能になることから、ここを航行する船には特殊な規則が適用されています。
橋の上からの景色はとても素晴らしいものですが、風が強く吹いていることも多いため、気を付けて通行してください。
名称 | 来島海峡大橋(来島海峡第一・第二・第三大橋) |
住所 | 愛媛県今治市 |
関連するサイト | https://www.jb-honshi.co.jp/shimanami/about/shimanami/p07.html |
↓自転車で30分程度
10:30 道の駅 よしうみいきいき館(15分程度滞在)
来島海峡大橋を降りると、大島へ到着です。
大島の来島海峡大橋近くには、道の駅 よしうみいきいき館が営業しているので、ここで少し休憩を取りましょう。
地元産の様々な名物を楽しむことができる道の駅で、中でも七厘で焼く新鮮な「海鮮バーベキュー」が自慢であるほか、レストランの「海鮮丼」やフードコートの「瀬戸内レモンソフト」などで英気を養ってサイクル旅を進めることができます。
また、今自転車で越えてきた来島海峡の潮流を楽しめる『しまなみ来島海峡遊覧船』の船着き場にもなっているので、こちらへの乗船もおすすめです。
名称 | 道の駅 よしうみいきいき館 |
住所 | 〒794-2114 愛媛県今治市吉海町名4520-2 |
電話番号 | 0897-84-3710 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
関連するサイト | https://imabari-shimanami.jp/ikiiki/ |
↓自転車で1時間程度
11:45 村上海賊ミュージアム(40分程度滞在)
道の駅 よしうみいきいき館からは自転車で大島を横断して30分ほどで、村上海賊ミュージアムへ到着します。
大島の中心部には高地があるため、道の駅からミュージアムまでのルートは、途中から県道337号を使って海岸線を漕いでいくのがおすすめです。
潮流が速く複雑な来島海峡をはじめとする今治周辺の海域では、中世の時代に村上海賊とも呼ばれる海上勢力が生まれました。
彼らは「警固衆(けごしゅう)」などとも呼ばれ、通行料の見返りに通行する船舶の警固を担ったほか、海の領主として、九州の大友や中国地方の毛利、畿内の三好といった大名間で独自の勢力を保つなど、乱世の中で存在感を示しました。
このミュージアムではそうした村上海賊の歴史や活躍、豊かな文化などを感じられる展示がされており、“パイレーツ”とは少し違う日本の海賊たちの姿を知ることができます。
名称 | 村上海賊ミュージアム |
住所 | 〒794-2203 愛媛県今治市宮窪町宮窪1285 |
電話番号 | 0897-74-1065 |
営業時間 | 9:00~17:00 月曜定休 |
入館料 | 一般:310円 学生:160円 |
関連するサイト | https://www.shimanamiartmuseum.com/murakamikaizokumuseum/ |
↓自転車で15分程度
12:35 宮ノ窪瀬戸展望地(10分程度滞在)
村上海賊ミュージアムから海岸線沿いに少し走ると、大島と鵜島の間にポツンと浮かぶ小さな能島が見える、宮ノ窪瀬戸展望地に到着します。
能島は村上海賊のひとつである能島村上氏が拠点とした島です。大島から能島の間の距離は驚くほど近く、泳げば楽にたどり着けてしまいそうに見えます。
しかし、能島は鵜島と共に海域の流れを遮るような立地をしているため、周辺の潮の流れはとても早く、潮の流れそのものが、拠点を守る防衛機能としての役割を果たしました。
さらに島はそのものが城塞としても整備されており、本丸・二の丸・三の丸といった城郭遺構が良好な状態で残されていることでも知られています。
名称 | 宮ノ窪瀬戸展望地 |
住所 | 〒794-2203 愛媛県今治市宮窪町宮窪 |
関連するサイト | https://s-leading.co.jp/kanko_noshima |
↓自転車で30分程度
13:15 道の駅伯方S・Cパーク(40分程度滞在・昼食)
大島から伯方・大島大橋を渡ると、製塩で有名な伯方島へ到着します。
伯方島にある道の駅、『道の駅伯方S・Cパーク』はSがsports,CがCultureを意味しており、文化センターや体育センター、人口ビーチやテニスコートと道の駅が合わさった総合施設です。
今回のモデルコースではこの道の駅で昼食をとる想定としており、伯方の塩のチャーシュー麺をはじめ、地産地消メニューの様々なフードを楽しむことができます。
近くにはイルカと触れ合うことができる日本最大級の施設『ドルフィンファームしまなみ』もあり、事前に申し込めばイルカのヒレにつかまって泳ぐなどのここでしかできない体験が可能です。
名称 | 道の駅伯方S・Cパーク |
住所 | 〒794-2302 愛媛県今治市伯方町叶浦1668-1 |
電話番号 | 0897-72-3300 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
関連するサイト | https://imabari-shimanami.jp/hakata/ |
↓自転車で50分程度
15:00 サイクリストの聖地 記念碑(15分程度滞在・自転車返却)
伯方島から大三島橋を渡ると、今回のモデルコースで立ち寄る最後の島、大三島へ到着します。
しまなみ海道のうち、大三島までが今治市域に含まれており、ここから先は尾道市の市域となっています。
伊予国(現在の愛媛県)一之宮である『大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)』がある神の島として知られており、“大三島”という島の名前も元々は神社を指すものだったとも考えられています。
ここまで来れば大山祇神社にも立ち寄りたいところですが、神社は島の反対側のため、このモデルコースでは島を道沿いに北上、『道の駅 多々羅しまなみ公園』を目指します。
ここにあるのがサイクリストの聖地 記念碑で、大三島と隣の生口島を結ぶ多々羅大橋と瀬戸内海の海を背景に美しい写真を撮ることができます。
ぜひここまで漕いできた自転車と一緒に記念写真を撮ってみましょう!必ず最高の思い出の一枚になるはずです。
写真を撮ったら道の駅で自転車を返却しましょう。
名称 | サイクリストの聖地 記念碑 |
住所 | 〒794-1402 愛媛県今治市上浦町井口9180-2 |
電話番号 | 0897-87-3866 |
営業時間 | 9:00~17:00(道の駅の営業時間) |
関連するサイト | https://imabari-shimanami.jp/tatara/ |
↓徒歩5分程度
15:20 大三島バスストップ
しまなみライナーバスや路線バスで広島県福山・尾道方面、今治方面へ戻りましょう。
名称 | 大三島バスストップ(BS) |
住所 | 〒794-1403 愛媛県今治市上浦町甘崎 |
電話番号 | 0897-82-0076 (瀬戸内海交通株式会社) |
関連するサイト | http://www.setonaikai-kotsu.co.jp/rosen/bus.html |
3.おわりにーコースの注目ポイントー
ここまでモデルケース形式でしまなみ海道ハーフサイクリングをご紹介しました。「風景がきれいなところだけど、自転車を尾道から今治まで漕ぐのはちょっと…。」という方にも気軽にしまなみ海道の景色とサイクリングを楽しんでみてもらいたいと思い、今回のモデルコースを考えました。
今回はサイクリングを楽しむことをメインにモデルコースを考えましたが、しまなみ海道の沿線は魅力的なスポットが多くあります。
文中で紹介した大山祇神社は、神社に興味がある方にはぜひ立ち寄ってほしい神社さんですし、尾道側では生口島に耕三寺や未来心の丘が、因島には因島水軍城や本因坊秀策記念館などがあり、じっくり立ち寄りたいエリアです。
島の間には路線バスやフェリーの運航もあるので、目的地に合わせて様々な交通手段を使い分けてアクセスしてみてください。