生産量日本一!ワイン県山梨、勝沼のワイナリーを巡るコース(山梨県甲州市)

6 min

1.はじめにーモデルコースの概要ー

甲州市 ワイン畑
©NHKアーカイブス

この記事では「ワイン県」と称されることもある山梨県の東部、甲州盆地の東端に広がるまち、甲州市勝沼のおススメスポットをモデルコース形式で紹介しています。

山梨県は日本ワイン発祥の地として知られており、またその生産量とワイナリー数は日本一を誇っています。
特に山梨特産で日本固有種のぶどう品種である「甲州」を使用して醸造された「甲州ワイン」の品質は高く、国内外からの注目を集めています。
令和元(2019)年8月7日には、山梨ワインのさらなる発展を図るために山梨「ワイン県」宣言も出されており、県を挙げたブランディングがはじまっています。

そうした山梨県の中央に広がる甲府盆地では、数多くのぶどう畑とワイナリーを見ることができますが、その中でも甲州市の勝沼地域周辺には80社以上のワイナリーが軒を連ねており、ワインの町の賑わいを見せています。
地域の最寄り駅の名前も「勝沼ぶどう郷駅」であり、その駅前からは眼下に一面のぶどう畑を見ることができます。

このモデルコースではそうしたぶどうとワインのまち勝沼で、甲州ワインの文化と歴史に親しみながら、舌でもワインを楽しむことを想定して観光スポットをまとめています。

最寄り駅と各ワイナリーには少し距離があるため、このモデルコースでは甲州市民バスを利用しての周遊を想定してモデリングをしています。
バスは平日と休日で運行ダイヤが異なります。今回は休日ダイヤでの訪問を想定していますが、バスで訪問する際は必ず事前に運行スケジュールを確認するようにしてください。

地元甲州市のタクシー会社「甲州タクシー」さんでは、タクシーでワイナリーをめぐる「勝沼ワイナリー巡り」のプランもあるので、そちらでの訪問を検討してみるのも良いかと思います。

2.モデルコース

ルート:JR勝沼ぶどう郷駅→レストラン シャンモリ→蒼龍葡萄酒株式会社→シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー→ボルドウ神社→龍憲セラー→岩崎醸造(ホンジョーワイン)→イケダワイナリー→勝沼醸造→勝沼ぶどう郷駅 
移動手段:バス・徒歩
所要時間:6時間~

11:00 JR勝沼ぶどう郷駅

勝沼ぶどう郷駅

今回のコースはJR中央本線、勝沼ぶどう郷駅を起点にスタートします。
勝沼ぶどう郷駅は鉄道院時代の大正2(1913)年、「勝沼」という駅名で中央本線上に開業した駅です。

現在の駅名となったのは平成5(1993)年のことで、以降JR東日本管内には「さくらんぼ東根駅」など、地名と名物を組み合わせた駅名も見られるようになっていきます。

付近にはJR中央本線の旧トンネルを活かしたワインカーヴもあるほか、駅前からは勝沼のぶどう畑を一望することができます。

この駅は観光シーズンには東京新宿と甲府を結ぶ特急「かいじ」の一部列車が停車するため、時間帯によっては東京方面からスムーズなアクセスが可能です。
ここからは甲州市民バスに乗車します。バスは11:04に出発します。乗り遅れないように気を付けましょう。

名称勝沼ぶどう郷駅
住所〒409-1302
山梨県甲州市勝沼町菱山
関連するサイトhttps://www.jreast.co.jp/estation/stations/452.html

↓甲州市民バスで30分程度、【ワインコース2バス】でワイン村河川公園前バス停へ

11:42 レストラン・シャンモリ(1時間15分程度滞在)

イメージ

勝沼のぶどう畑の中にある、ぶどう畑を眺められる洋風レストランです。
レストランの最大の特徴は甲州ワインのワイナリーを併設しているところで、レストランで出される料理やソースにもワインがふんだんに使用されています。
また、料理に用いられる食材には地元山梨県産の食材が多く用いられているのも嬉しいところです。

天井が高く開放感のある店内で、ゆったりとくつろぎのランチタイムを過ごしてみましょう。

名称レストラン シャンモリ
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎1453
電話番号0553-44-5556
営業時間8月下旬~10月上旬・・・無休
10月中旬~翌8月中旬・・・祝日を除き火曜日
ランチ… 11:30~15:00(L.O.14:30)
ディナー… 17:00~22:00(L.O.20:30)
ディナーは完全予約制です。予約最終受付は前日午後3時まで。
関連するサイトhttps://chanmoris.com/

↓徒歩10分程度

13:10 蒼龍葡萄酒株式会社(30分程度滞在)

ワインのイメージ
イメージ

レストランでお腹を満たしたら、いよいよワインテイスティングの旅のスタートです。まず訪れるのは蒼龍葡萄酒株式会社で、小さいながらもプロヴァンス風のオシャレな外観が印象的です。

蒼龍葡萄酒株式会社は勝沼地域の中でも長い歴史を持っているワイナリーの一つで、明治32(1899)年、地域の農家による共同醸造会社としてワイン造りをスタートさせました。
以来120年以上にわたって愛され、日本で初めて無添加ワインを発売した醸造所としてワイン通に知られています。

店内には無添加ワインの他、本格的な味わいのものなど数多くのワインが揃っており、常時約40種のワインテイスティングが可能です。
事前に連絡すればワイナリー内やぶどう畑の見学も可能なため、こちらも要検討です。

名称蒼龍葡萄酒株式会社
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎1841
電話番号0553-44-0026
営業時間8:30分~17:00、日曜日・祝日:9:00~17:30
関連するサイトhttp://www.soryu-wine.co.jp/

↓徒歩5分程度

13:45 シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー(40分程度滞在)

勝沼の地にある、シャトー・メルシャンの基幹となるワイナリーです。
広大な敷地の中には、醸造所やヴィンヤード(ぶどう畑)のほかに、テイスティングカウンターや資料館、セラーやショップを併設しており、勝沼のワイン醸造について歴史や味・香など様々な側面から知ることができます。

突出するものはなく、欠けるものもなく、完全に調和のとれた味わい。シャトー・メルシャンのワインは自然と調和し、バランスが取れていて過剰なもののない「日本庭園」のような味わいのワインを目指しています。
「無作為の作為」。自然に仕上げられたワインの妙味をぜひ味わってみましょう。

名称シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎1106
電話番号0553-44-1011
営業時間・ワインショップ
10:00~16:30
・テイスティングカウンター
10:00~16:00(L.O)
・ワイン資料館
9:30~16:30
関連するサイトhttps://www.chateaumercian.com/winery/katsunuma/

↓徒歩5分程度

14:30 ボルドウ神社(5分程度滞在)

シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーの敷地内には、神話上の神様や人物神ではなく、農業用殺菌剤「ボルドー液」を祀る世にも珍しい神社「ボルドウ神社」が鎮座しています。

ボルドー液とは、硫酸銅と消石灰の混合溶液のことで、ぶどうの大敵であるベト病やうどんこ病などの予防に効果があります。
その発明は明治15(1888)年、フランスのボルドー地域のことで、ボルドー液は以来現在に至るまで、ぶどうの生育に欠かせない薬剤として使用され続けています。

勝沼でもボルドー液は重宝され、時期は不詳ながらボルドー液を祀る神社の建立に繋がりました。

名称ボルドウ神社
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎
関連するサイトhttps://www.city.koshu.yamanashi.jp/docs/2021061600037/file_contents/9web_katsunuma_3-56.pdf

↓徒歩5分程度

14:40 龍憲セラー(5分程度滞在)

セラーのイメージ

日本、そして勝沼でのワインの製造は明治10(1877)年、大日本山梨葡萄酒会社が設立された時に遡ります。
大日本山梨葡萄酒会社からは土屋龍憲と高野正誠という2人の日本人がフランスに留学、ワイン造りを学び、帰国後は日本酒の蔵でワイン造りに励みます。
そうした折、ワインの質を向上させるために作られたのがこのセラーです。

セラーには当時の最新建材である煉瓦が使用されていますが、これは中央線のトンネルを築く際に使用するための煉瓦工場が付近にあったことによると考えられています。

名称龍憲セラー
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎
関連するサイトhttps://www.koshu-kankou.jp/map/m5107.html

↓徒歩5分程度 

14:50 岩崎醸造(ホンジョーワイン)(30分程度滞在)

龍憲セラーからさらに南へ少し歩くと、交差点に「ホンジョーワイン」の愛称で知られる岩崎醸造が見えてきます。
愛称であるホンジョーは「本格醸造」の略で、岩崎醸造は昭和初期の設立以来、地域のぶどう農家との繋がりを大切にしながら、こだわりのワインを造り続けています。

店内では常時3種類のワインテイスティングが楽しめるほか、前日までの予約でワイナリー見学が可能です。

↓徒歩5分程度

15:25 イケダワイナリー(15分程度滞在)

ホンジョーワインから西の方向に少し歩くと、ワインのペイントが外壁に施されたイケダワイナリーが見えてきます。
イケダワイナリーは平成7(1995)年創業、家族経営の小さなワイナリーですが、ワイン好きからの注目を受けています。

注目の理由はワイナリーを経営する池田俊和氏という有名な醸造家の方にあり、中でも甲州ぶどうを使った白ワインは高い人気を誇っています。
テイスティングが無料なのも嬉しいポイントですが、立ち寄った際には評判の味をぜひ家庭や友人に持ち帰ってみましょう。

名称イケダワイナリー
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎1943
電話番号0553-44-2190
営業時間9:00~17:00
関連するサイトhttps://www.katsunuma.ne.jp/~ikedawinery/index.html

↓徒歩5分程度

15:40 勝沼醸造(30分程度滞在)

コースの最後に訪れるワイナリーは甲州ぶどうと甲州ワインに誇りを持って醸造を続け、甲州ワインのパイオニア的存在として知られる勝沼醸造です。
「世界一高い製造コスト」によって造られるワインからは、「最高品質の甲州を世界へ」というメッセージが強く伝わってきます。
テイスティングには事前の予約が必要なため、注意しましょう。

名称勝沼醸造
住所〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎371
電話番号0553-44-0069
営業時間9:30-16:30
関連するサイトhttps://www.katsunuma-winery.com/

↓徒歩で25分程度

16:44 等々力公民館前より甲州市民バス【ぶどうコース2】に乗車

17:05 勝沼ぶどう郷駅着! お疲れさまでした!

3.おわりにーコースの注目ポイントー

ここまでモデルケース形式で勝沼のおススメスポットをご紹介しました。

このモデルコースで紹介した場所以外にも、勝沼と山梨県にはまだまだ数多くのワイナリーがあります。
ワインに詳しい方もそうでない方も、実際にワイナリーを訪れてテイスティングを楽しんでみると、今までに感じなかったワインの新たな一面に気づけるかもしれません。

甲州市の新ワイン解禁は毎年11月3日。
市内ではこの日「かつぬま新酒ワインまつり」が開催されます。テイスティングはいつしても楽しいものですが、今年は新酒解禁に合わせて甲州勝沼を訪れてみてはいかがでしょうか?

岩本まさき

岩本まさき

1993年兵庫県西宮市生まれ。奈良大学文学部地理学科卒業後、営業職を中心に勤務。
2022年に旅行会社へ転職後は、ツアーへの添乗や旅行系のライターとして務め、個人・少人数向けツアーも多数企画しています。
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