世界に開かれた港町、神戸を楽しみ尽くすコース(兵庫県神戸市)

7 min

1.はじめにーモデルコースの概要ー

この記事では兵庫県の県庁所在地で、世界に開かれ西洋文化の入口にもなった港町、神戸のおすすめスポットをモデルコース形式で紹介します。
異人館やポートタワーといった神戸の名所を紹介していますので、神戸を初めて訪ねる方はそのままのルートでまわってみても良いですし、少しコースをカスタマイズして北区の有馬温泉を訪ねてみたり、須磨区や垂水区で海岸風景を楽しんでみるのもおススメです。

今回のモデルコースの出発場所は「JR三ノ宮駅」です。
三ノ宮は神戸市の中心的な駅で、JRの在来線の全列車が停車するほか、阪急電鉄、阪神、地下鉄、新交通システムといった私鉄のターミナル駅があり、高速バスも発着しています。
新幹線は三ノ宮駅から地下鉄で1駅の「新神戸駅」、飛行機は神戸市の沖合にある「神戸空港」から発着しており、全国各地からアクセスすることができます。

三ノ宮駅からスタートしたモデルコースは、海と山に挟まれた神戸の街に広がる観光名所を順番にまわっていきます。
神戸は全国にある大都市の中でも特に傾斜のある街として知られ、沿岸部を除けば“坂の上にある街”といっても過言ではありません。

その地形から、街と港の距離が近く、高台に登れば港を一望できる街、他にはない景観の美しい街として知られていますが、一方でそのアップダウンの激しさは生活する上でも観光する上でもひとつのネックとなっています。
このモデルコースではロープウェーや地下鉄などの利用を推奨しているほか、市内に運行される路線バスや観光バス「シティループ」を活用するなどし、無理のない観光を心がけてください。

2.モデルコース

ルート:JR三ノ宮駅→生田神社→神戸トリックアート不思議な領事館→萌黄の館→風見鶏の館→神戸布引ハーブ園→南京町→ポートタワー→メリケンパーク
交通手段:地下鉄、ロープウェー、徒歩
所要時間:6時間~

10:00 JR三ノ宮駅

JR三ノ宮駅

今回のツアーの出発場所はJR三ノ宮駅です。
三ノ宮駅は神戸の市街地の中心にあり、鉄道のほかバスや新幹線、飛行機など様々な方法でアクセスすることができます。

「三ノ宮」という名前は繁華街の中にある小さな神社、生田神社の三宮神社に由来しています。
戦前までは市街の中心地は現在より西側、神戸駅付近の新開地地域にありましたが、鉄道の便の良さなどから発展すると、次第に三ノ宮地域が神戸の中心市街となっていったという歴史を持っています。

名称JR三ノ宮駅
住所〒651-0097
兵庫県神戸市中央区布引町4丁目
関連するサイトhttps://www.jr-odekake.net/eki/premises?id=0610143

↓徒歩で10分程度

10:15 生田神社

生田神社
©岩本まさき

三ノ宮駅の北側、繁華街の中に鎮座している神社です。
生田神社に関する記述は『日本書紀』の中にも確認することができ、長い歴史を持つ神社として知られています。

「神戸」という地名の由来は、この生田神社にあるとされており、かつて周辺に広がっていた神社の領地を表す「神戸(かんべ)」が「こうべ」という地名に代わって呼ばれるようになっていったのではと考えられています。

神社のご祭神は稚日女尊(ワカヒルメノミコト)で、伊勢神宮に祀られている天照大御神の妹神であるとも、天照大御神の幼い姿ともいわれている太陽の女神です。
太陽の神=人や植物の成長を促すと考えられたことから、健康長寿のご利益があるとされているほか、神話の中で祭神が機織りをしている記述が見られるために「人と人の関係性を織る縁結びの神様」としても信仰されています。

名称生田神社
住所〒650-0011
兵庫県神戸市中央区下山手通1丁目2-1
電話番号078-321-3851
参拝時間9:00-17:00
参拝料無料
関連するサイトhttps://ikutajinja.or.jp/

↓徒歩で15分程度(シティループバスと徒歩で12分程度)

10:50 神戸トリックアート不思議な領事館

神戸トリックアート不思議な領事館
©一般財団法人神戸観光局

神戸の山手、「北野」と呼ばれる地域には、明治時代から大正時代に日本を訪れた外国人達が建築した洋館が今も数多く残り、それらが和風の住宅と混在する独特の景観が見られます。
周辺は「神戸市北野町山本通伝統的建造物群保存地区」として「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、建物と景観の保存措置が取られています。

エリア内は34棟の洋風建築、7棟の和風建築が伝統的建造物に指定されており、この「神戸トリックアート不思議な領事館」も、元々は「旧ヒルトン邸」と呼ばれた邸宅でした。
戦後にはパナマ領事館として使用されており、白い外壁に緑の柱が鮮やかなことで知られています。

その内部は、異人館街で珍しいアミューズメントスポットとなっており、様々なトリックアート、「だまし絵」が展示されています。
ダイナミックなだまし絵は、錯視や鏡などを利用しており、カメラを使って「巨大なステーキに押しつぶされそうな写真」や、「ガラスの小瓶に閉じ込められている写真」を取ることができるほか、背の高さが変わって見える部屋などを楽しむことができます。

名称神戸トリックアート不思議な領事館
住所〒650-0002
兵庫県神戸市中央区北野町2丁目10-7
電話番号0120-888-581
営業時間10:00-18:00
入館料一般:880円
関連するサイトhttps://kobe-ijinkan.net/md/trick/

↓徒歩で5分程度

11:50 萌黄の館

萌黄の館
©一般財団法人神戸観光局

明治36(1903)年、当時アメリカ総領事であったハンター・シャープ氏の邸宅として建築された洋館です。

その最大の特徴は名前の通り美しい萌黄色で塗装された外観で、屋内についても同様に緑色が基調となっています。
1980年代までは白色の塗装がされ、「白い異人館」と呼ばれていたようですが、半解体修理時に元々の外装が萌黄色だったことが判明、現在の色に再塗装されています。

萌黄の館の前には重厚なデザインの「風見鶏の館」がありますが、こちらはそれとは対照的な軽快な印象を与える建物として知られています。
建物の2階にはサンルームが設けられており、みなと神戸の眺望を楽しむことができます。

名称萌黄の館
住所〒650-0002
兵庫県神戸市中央区北野町3-10-11
電話番号078-855-5221
営業時間9:30-18:00
入館料一般:400円
関連するサイトhttps://www.kobeijinkan.com/ijinkan_list/moegi

↓徒歩で目の前

12:20 風見鶏の館

風見鶏の館
©岩本まさき

萌黄の館が建てられた翌年、明治37(1904)年にドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏の邸宅として建てられた邸宅です。

その特徴はドイツ風の重厚なデザインの外観にあり、邸宅の施主であるトーマス氏は邸宅を「ハウス・レナニア(ラインの館)」と呼んでいたとの記録も残っています。

邸宅の名前の由来となった屋根の上の風見鶏は、異人館街、そして神戸のトレードマークとして広く知られていますが、設置された理由には諸説がみられます。
貿易商である施主の意向によって船を進ませる風を見るために取り付けられたとか、キリスト教で危険を察知する魔除けとされることから取り付けられたとか、邸宅を手掛けたドイツ人建築家の好みでつけたのではとの意見も見られ、判然としていません。

神戸の街は人気ゲーム・アニメ「fateシリーズ」のモデル(聖地)となった場所が多いことで知られていますが、ここ風見鶏の館はヒロインの邸宅のモデルとなっており、訪れる人の中にはアニメファンの姿も見られます。

名称風見鶏の館
住所〒650-0002
兵庫県神戸市中央区北野町3丁目13-3
電話番号078-242-3223
営業時間9:00-18:00
入館料一般:500円
関連するサイトhttps://www.kobeijinkan.com/ijinkan_list/kazamidori

↓徒歩とロープウェーで30分ほど

13:20 神戸布引ハーブ園

神戸布引ハーブ園
©一般財団法人神戸観光局

平成3(1991)年に神戸の山手、布引の滝にも近い場所に開園した、ハーブを主体に展示している植物園です。
園内には約200種類、75,000株のハーブが植えられており、季節ごとに色と香り豊かなハーブの数々を楽しむことができます。

園内は「家庭菜園ポタジェ」や「オリエンタルガーデン」など、コンセプトごとに12のガーデンに分かれており、ハーブの使用方法などについて園内を散策しながら知ることができます。

また、、無料の「ハーブガイドツアー」が毎日開催されているほか、ハーブを活かした様々なアイテムづくり、至高の香り探しなどの体験や、春のハーブマルシェ、秋の収穫祭など、ハーブの香りに包まれながら様々なイベントを体験することもできます。

敷地は神戸市を見下ろす山の中腹にあり、夜景を美しく見ることができるスポットとして知られています。時期によっては園内にイルミネーションがされており、ロマンチックな雰囲気を楽しむことができます。

このモデルコースではハーブ園で少し遅めの昼食をとります。ハーブを生かしたランチで、香りと彩りと味わいを堪能しましょう。

名称神戸布引ハーブ園
住所〒651-0058
兵庫県神戸市中央区葺合町山郡
営業時間季節により異なります
入園料通常営業期 一般:2,000円
(ロープウェー往復運賃とハーブ園入園料)
関連するサイトhttps://www.kobeherb.com/

↓「風の丘中間駅」からロープウェーを利用して山麓駅まで下山、徒歩で新神戸駅まで移動し、地下鉄西神山手線「県庁前駅」で下車、徒歩で南京町へ 所要時間40分ほど

15:20 南京町

南京町
©岩本まさき

神戸の元町エリアには、「日本三大中華街」のひとつに数えられる中華街、「南京町」があります。
横浜の中華街と比較すると広くない印象を受けますが、これは神戸に来た華僑の人々が周辺の日本人コミュニティに溶け込んだ結果であり、実際に神戸の有名中華料理店には南京町の外に出店しているものが数多く見られます。

元々は日本国中で中華街を「南京町」と呼んでいたとも考えられますが、戦後に他の中華街が「南京町」の呼称を使わなくなり、現在ではここ神戸元町中華街のみが「南京町」の呼称で呼ばれています。

エリア内には中華屋台、中華料理店が軒を連ねており、様々な中華グルメを楽しむことができますが、筆者おススメはやはり定番、「老祥記(ろうしょうき」の豚まんでしょうか。
手のひらサイズの小さな豚まんで、厚めの皮の中にしっかりとした味付けの具材が包まれ、一口にほおばると中から肉汁があふれ出してきます。

名称南京町
住所〒650-0023
兵庫県神戸市中央区栄町通1丁目3-18
電話番号078-332-2896(南京町商店街振興組合)
関連するサイトhttps://www.nankinmachi.or.jp/

↓シティループで10分程度(徒歩15分程度)

15:50 神戸ポートタワー

神戸ポートタワー
©一般財団法人神戸観光局

みなと神戸を象徴する、優美な形が特徴的なタワーです。

昭和34(1959)年に当時の神戸市長がオランダのロッテルダム市を訪れた際、港を見下ろすタワー「ユーロマスト」に感激し、神戸にも港のランドマークを作ろうという思いから建設が始められた歴史を持っています。
「世界でも類を見ないユニークなデザイン」や「他都市のタワーに負けることなく世界的な価値観を訴え得るもの」、「美しい神戸の街にマッチし市民に愛されシンボルとなること」といった条件の元で建設が進められ、着想から4年後の昭和38(1963)年に完成しています。

和楽器の鼓を縦に伸ばしたような形状が特徴で、双曲面構造が表す美しさから「鉄塔の美女」と称されます。
タワー完成後には、タワーの東側が埋め立てられて「メリケンパーク」となっており、そこには白い鉄骨の装飾が美しい「海洋博物館」や、ホテルニューオータニもオープン、
タワー西側には港を挟んで「モザイク」には観覧車もあり、これらが織りなす港の景観は神戸を象徴的に表しています。

名称神戸ポートタワー
住所〒650-0042
兵庫県神戸市中央区波止場町5-5
電話番号078-335-6580
営業時間9:00-23:00
入館料一般:1,200円
関連するサイトhttps://www.kobe-port-tower.com/

↓徒歩で1分ほど

16:30 メリケンパーク

メリケンパーク
©岩本まさき

モデルコースの最後はみなと神戸を象徴する風景が楽しめる「メリケンパーク」です。

開園は昭和62(1987)年のことで、メリケン波止場とポートタワーのある突堤の間を埋め立てて造成されました。
名前の由来は公園東側にある「メリケン波止場」で、この波止場の近くにアメリカ領事館があったことから波止場の通称となったといわれています。

メリケンパークからポートタワー、神戸海洋博物館、ホテルオークラを見上げた写真は、神戸を代表する景色としてガイドブックに用いられることも多くあります。
園内には海を背景に「BE KOBE」のモニュメントがあり、記念撮影を楽しむことができます。

神戸の半日モデルコースの最後はここで潮風を感じながらゆっくりとしてみましょう。時期やタイミングによってはキッチンカーの出店もあるようです。

名称メリケンパーク
住所〒650-0042
兵庫県神戸市中央区波止場町
関連するサイトhttps://www.feel-kobe.jp/area-guide/meriken-harbor/

おつかれさまでした。

3.おわりにーコースの注目ポイントー

白鶴酒造資料館
©岩本まさき

ここまでモデルコース形式で、神戸の主要な観光地をご紹介してきました。

明治時代の開港以来、世界への玄関口として栄えてきた神戸には、数多くの「日本初」の文化や物品が伝わりました。
ラムネやソース、靴、ジャズ、缶コーヒー、ゴルフ、豚まん、紅茶…。これらはすべて神戸から日本国中へ伝わったとされているものです。

神戸を訪れた際は、これら神戸から広まった様々なものを楽しんでみるのは如何でしょうか。日本での発祥の歴史を知った上で訪れることで、他の場所での体験とはまた異なる感動を味わうことができます。

また、神戸市は東西に広く、海と山の両方に面していることが特徴です。
六甲山の北側には有馬温泉があるほか、「神戸ワイン」で知られる醸造所があり、西には歌枕としても知られた須磨の海が、東には「灘の酒」で知られる灘五郷もあります。
ぜひ実際に神戸を訪れ、あなたの足で奥深い神戸の魅力を楽しんでみてください。

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