湖国の古都、大津を周遊するコース【徒歩・6時間】(滋賀県大津市)

5 min

1.はじめにーモデルコースの概要ー

坂本の町並み
©びわ湖大津観光教会

この記事では滋賀県南部にあるまち、滋賀県の県庁所在地大津市のおススメスポットをまとめています。モデルコース形式でのご紹介のため、そのままのスケジュールで周ってみるのはもちろん、立ち寄るスポットを追加してみたり、近隣の京都市や草津市へ立ち寄ってみるのもおススメです。

このモデルコースでは、大津市の名所を徒歩と鉄道で周遊します。
滋賀県大津市は1300年以上前に都が置かれた歴史を持っている、奈良や京都と並ぶ歴史ある古都です。
また、日本最大の湖・琵琶湖に臨む水の都でもあり、市内に数多くの神社仏閣を抱える宗教都市という表情も併せ持っていることが特徴です。
これら多様な魅力に加え、新幹線停車駅である京都駅からは電車で10分でアクセスできる立地の良さから、これから注目されること間違いなしの観光エリアです。
このツアーではそんな大津の人気スポットを1日で効率的に巡ります。

大津絵
「大津名物の大津絵」©びわ湖大津観光教会

湖畔に栄えた町並み、琵琶湖と京都を様々な形で繋いだ琵琶湖疎水、「不死鳥の寺」園城寺と大津に都を拓いた天皇を祀る近江神宮を訪れ、そこからは京阪電車で市街を北上、坂本の風情ある町並みを楽しみます。
そしてコースの最後には日本仏教の一大聖地である比叡山へ、日本一の長さの坂本ケーブルで向かいます。
このモデルコースを参考に、是非大津の観光を楽しんでみてくださいね。

2.モデルコース

ルート:JR大津駅→元祖阪本屋→琵琶湖疎水→園城寺→(京阪電車石山坂本線)→近江神宮→(京阪電車石山坂本線)→坂本の町並み→(坂本ケーブル)→延暦寺
交通手段:徒歩、鉄道
所要時間:6時間~

10:00 JR大津駅

大津駅

旅のスタートは大津駅です。
大津駅は東海道線の途中駅で、姫路から神戸、大阪、京都を経由して敦賀や米原へ向かう特急料金不要の高速列車、新快速の停車駅です。

京都駅からは途中山科駅を経由して2駅、10分ほどの距離にあり、新幹線や高速バスでのアクセスにも優れています。

名称大津駅
住所〒520-0055
滋賀県大津市春日町1
関連サイトhttps://www.jr-odekake.net/eki/top?id=0610114

↓徒歩10分程度

10:10 元祖阪本屋

出典:農林水産省WEBサイトhttps://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/funa_zushi_shiga.html

湖国近江の名物料理の『ふなずし』や、湖魚の佃煮を販売しているお店です。
現在「すし」というと酢飯に刺身を載せたものが想像されますが、こういった寿司は「はやずし」と呼ばれ、江戸時代の中期に誕生したものです。
それまでの寿司は「なれずし」といい、米と魚肉を同じ容器に保存、乳酸菌などの発酵によって魚肉を長期保存する調理法でした。

ふなずしもそういった古いタイプの寿司であるなれずしのひとつで、琵琶湖特産のニゴロブナをまるごと漬けこみ、骨まで食べられるものとしています。
乳酸発酵の効果により整腸作用があるほか栄養価も高く、滋賀県では体調不良の際に薬の代わりに食す文化もあるようです。

地元名産の料理で、日本酒のツマミなどにもピッタリな料理ですが、発酵食品のためクセはあります。購入の際は独特の味わいと匂いがあることに留意しましょう。

名称元祖 阪本屋
住所〒520-0046
滋賀県大津市長等1丁目5-21
電話番号077-524-2406
関連サイトhttp://www.sakamotoya.biz/

↓徒歩10分程度

10:30 琵琶湖疎水

桜の琵琶湖疎水

琵琶湖の水を京都へ流している水路です。
幕末の戦火で市中の広い範囲が焼け、明治2(1869)年の東京奠都などで人口が減少した京都では、産業の衰退が見られました。
当寺の京都市長がこれら現状を打開するために計画したのが琵琶湖疎水計画で、着工から5年間の工事を経て明治23(1890)年に第一疎水が開通しています。

疎水によって琵琶湖から流れた水の流れは、水力発電や産業用水、農地の灌漑や水運、防火や庭園用水などに幅広く利用され、京都が復興していく原動力となりました。

現在は三井寺付近の琵琶湖疎水から蹴上までを運航する『びわ湖疎水船』が運行されているほか、京都側には疎水による物流を支えた「インクライン」の跡も残されているので、それらを併せて観光してみるのも良いでしょう。

名称琵琶湖疎水(びわこそすい)
住所〒520-0034
滋賀県大津市三井寺町7
関連サイトhttps://biwakososui.city.kyoto.lg.jp/story/

↓徒歩15分程度

11:00 園城寺(三井寺)

園城寺
©びわ湖大津観光教会

園城寺( おんじょうじ)は、大津市内にある天台寺門宗(てんだいじもんしゅう)総本山のお寺です。
寺伝では壬申の乱で敗北した大友皇子の子によって開かれたとされ、その後9世紀後半に唐から帰国した第五代天台座主、智証大師円珍によって境内の復興が進められたといわれています。

最澄が開いた天台宗は、最澄の没後には僧侶たちが派閥に分かれて対立、円珍が復興した三井寺は寺門派(円珍派)の拠点となり、比叡山に依る山門派と対立していきます。
両派の対立は根深く、源平合戦や南北朝の動乱でも対立したほか、山門派の焼き討ちによって園城寺は7度の全山全焼を経験しています。
しかし、それらの被害を受けながらもその度に復興し、境内には秘仏の本尊をはじめとする多くの仏像や仏画、建築物が多く残されていることに驚かされます。

境内には近江八景のひとつ、「三井の晩鐘(みいのばんしょう)」で知られる釣鐘があり、その美しい音色から「日本三名鐘(にほんさんめいしょう)」のひとつにも数えられています。

名称園城寺(三井寺)
住所〒520-0036
滋賀県大津市園城寺町246
電話番号077-522-2238
参拝時間8:00-17:00
参拝料一般:600円
関連サイトhttps://miidera1200.jp/information

↓京阪電車石山坂本線に三井寺駅‐近江神宮前駅まで乗車、徒歩含め30分程度

12:15 近江神宮

近江神宮
©びわ湖大津観光教会

飛鳥時代に大津に都を拓いた天皇、天智天皇を主祭神としてお祀りしている神社です。
天智天皇は事績が多く、乙巳の変で蘇我一族を除き、大化の改新と呼ばれる様々な改革を行ったほか、都を近江に移した際には日本最古の戸籍(庚午年籍)を整備、天智天皇10(671)年の6月10には漏刻(水時計)で時を計り、鐘で時刻を知らせたとされています。
これらの事績から開運や導き、時間の神様として信仰を受けており、境内には数多くの時計が奉納されています。

さらに、天智天皇は和歌が小倉百人一首の第一首に採られていることから和歌や学芸の神様としても知られており、これにちなんで境内の「近江勧学館」では毎年7月の「全国高等学校かるた選手権大会」が開催されるなど、競技かるたのメッカとして知られています。

名称近江神宮
住所〒520-0015
滋賀県大津市神宮町1-1
電話番号077-522-3725
参拝時間9:00-16:30
参拝料無料
関連サイトhttps://oumijingu.org/

↓京阪電車石山坂本線に近江神宮前駅‐阪本比叡山口駅まで乗車、徒歩含め20分程度

13:05 坂本の町並み

秋の坂本
©びわ湖大津観光教会

坂本のまちは琵琶湖に面した港町として、そして延暦寺や日吉大社の門前町として栄えてきた歴史を持っています。
「穴太衆積み」と呼ばれる美しい石垣が張り巡らされた町並みと、比叡山で修行した僧侶が隠居生活を送る「里坊」が織り成す静かな風景が特徴的で、一体は重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。

時間的には坂本エリアで昼食を取りたいところですが、ここでのおススメは「手打蕎麦 鶴喜」です。
坂本地域の蕎麦は比叡山で断食行を終えた僧侶たちが食したことをルーツとしており、周辺には幾つかの蕎麦店が見られますが、中でも手打蕎麦 鶴喜は幾人もの食通を唸らせてきた名店です。

このモデルコースでは立ち寄りませんが、朝廷から篤い崇敬を受け、京都の表鬼門を守護する「日吉大社」や、美しいお庭とリフレクション撮影が楽しめる「旧竹林院」といったスポットへ立ち寄ると、坂本地域や比叡山への理解をより深めることができます。

↓比叡山坂本ケーブルにケーブル坂本‐ケーブル延暦寺駅間で乗車、徒歩含め40分程度

14:30 延暦寺

延暦寺
©びわ湖大津観光教会

延暦寺は標高848mの比叡山全域を境内とする、天台宗総本山のお寺です。
平安時代初期の開山以降名僧を多く輩出しており、中世その権力は仏教界だけでなく、朝廷や鎌倉、室町幕府の政策にも度々影響を及ぼすほどでした。
現在においても山内では仏教の厳しい修行が行われており、日本仏教の代表的な聖地であり続けています。

平成6(1994)年にはユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」にも登録されており、海外からの観光客にも親しまれています。

名称延暦寺
住所〒520-0116
滋賀県大津市坂本本町4220
電話番号077-578-0001
参拝時間東塔地区 並びに山麓 滋賀院 生源寺:9:00-16:00
巡拝料東塔・西塔・横川共通券:1,000円
関連サイトhttps://www.hieizan.or.jp/

↓比叡山坂本ケーブルにケーブル延暦寺‐ケーブル坂本駅間で乗車、徒歩含め40分程度

16:00 ケーブル坂本駅

3.おわりにーコースの注目ポイントー

大津祭
©びわ湖大津観光教会

ここまでモデルケース形式で大津のおすすめスポットをご紹介しました。
今回モデルコースという形で大津市の中部から北部地域を紹介しましたが、今回紹介していない南部地域にも見どころは多くあります。

琵琶湖からの水が流出する瀬田川のほとりには、西国三十三所の13番札所であり、月の名所としても知られる『石山寺』があるほか、古代以来様々な合戦の舞台にもなった『瀬田の唐橋』、日本神話上の英雄である日本武尊を祀る『建部大社』などの名所が目白押しです。

大津駅から湖畔方向に下った大津港ではレンタサイクルを借りることもできるので、自転車を活用して琵琶湖南湖を一周したり、近江八景の名所を周ってみる、などの観光も楽しむことができます。

秋には大津市街に曳山が巡行される「大津祭」もあるので、祭の時期に訪れてみるのも良いでしょう。

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