五感で感じる開拓の歴史、『ゴールデンカムイ』の世界に浸るコース(北海道札幌市)

4 min

1.はじめにーモデルコースの概要ー

サッポロビール博物館
©一般社団法人札幌観光協会

この記事では北海道の中心地、札幌市のおススメスポットについて、開拓の歴史を感じられる資料館・博物館を中心にまとめています。
特に『ゴールデンカムイ』の原作・劇場版共に舞台となった建物群が見れる「北海道開拓の村」は必見です。
モデルコース形式でのご紹介のため、そのままのスケジュールで周ってみるのはもちろん、立ち寄るスポットを追加して他の名所を見てみたり、時間短縮のためにレンタカーやタクシーを利用するなどのカスタマイズも可能です。

北海道では明治2(1869)年に開拓使が札幌に設置されて以来、開拓が少しづつ進められていきました。
開拓には多くの人々が従事しましたが、中でもアメリカで農務局長経験もある御雇い外国人、ホーレス・ケプロンの活躍はめざましいもので、開拓顧問として道路建設から鉱工業、農水産業など開拓にかかわるほぼ全ての領域で実績を残しています。

ケプロンらは北海道の寒冷な気候には稲作は適していないと判断、パン食と小麦・大麦栽培の奨励をおこなったことで、開拓使麦酒醸造所(後のサッポロビール)の設立に繋がりました。
また、札幌から室蘭、函館を結ぶ馬車道を整備し、後の国道5号・36号の基礎を作ったほか、札幌農学校の設立などにも寄与しており、北海道の開拓に大きな影響を与えました。
現在でも北海道にはアメリカのような雰囲気があるといわれるシーンがありますが、これにはケプロンをはじめとする御雇い外国人たちの活躍と、アメリカ式の開拓を推し進めたことが背景にあります。

北海道開拓の村
©一般社団法人札幌観光協会

この記事ではこれら北海道の開拓の歴史にスポットライトを当て、札幌市内の東部にある3つの博物館をまわります。
『北海道開拓の村』では開拓期の様々な建物を見られ、『サッポロビール博物館』では明治期からビール醸造に使われてきた建物の中で、開拓とビールの歴史を知ることができます。
そして『北海道博物館』では、北海道の地勢と自然環境、開拓以前から北海道に住んできたアイヌの人々の文化と歴史などについて知ることができます。

全体的に博物館での滞在時間を多めにとってルーティングしています。訪れる際はご興味に合わせて各スポットでの滞在時間を調節してみて下さいね。
各博物館ともに興味のある方なら一日中いても飽きないスポットです。

2.モデルコース

ルート:新札幌駅→北海道開拓の村→北海道博物館→サッポロビール博物館→札幌駅
交通手段:徒歩、鉄道、バス
所要時間:6時間~

9:00 新札幌駅

新札幌駅

旅の出発は新札幌駅からです。新札幌駅は札幌市中心部に対する副都心的機能を期待されてきた歴史を持っており、駅周辺には多くの商業施設が並びます。
札幌駅から新札幌駅まではJR函館本線で10分程度で到着するほか、新千歳空港からも「快速エアポート」で30分程度でアクセスが可能です。
また、新札幌駅には特急列車を含むすべての列車が停車するため、道内各地からのアクセスも容易です。

名称新札幌駅
住所〒004-0052
北海道札幌市厚別区厚別中央2条5丁目6-1
関連サイトhttps://www.jrhokkaido.co.jp/network/station/station.html#78

↓JR北海道バスに乗車し「開拓の村」バス停下車 所要時間約25分

9:30 北海道開拓の村

北海道開拓の村‐馬車鉄道
©一般社団法人札幌観光協会

開拓期の建物52棟を屋外に移築、または再現している野外博物館です。
園内は「市街地群」「山村群」「漁村群」「農村群」の4つのエリアに分かれており、市街地群と農村群を結ぶ大通り上には夏季は「馬車鉄道」、冬季は「馬そり」がそれぞれ運行され、レトロな町並みに彩りを添えています。

北海道開拓の村‐山本理髪店
©一般社団法人札幌観光協会

園内の多くの建物は北海道を舞台にした人気マンガ「ゴールデンカムイ」に登場していることで知られており、52棟中34棟の建物が原作に登場しているほか、現在放映中の劇場版でも園内がロケ地として使用されるなど、作品の「聖地」となっています。
開拓の村には、札幌以外にも道内様々なまちから建物が移築されています。時間に余裕があれば、旭川や小樽など、建物が元々建っていたまちや場所を訪れてみるのもおススメです。

また、園内では「にしんそば」や「エゾ鹿ジンギスカン」など、北海道の開拓期を感じさせる食事を楽しむことができます。

名称北海道開拓の村
住所〒004-0006
札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
電話番号011-898-2692 
入村料金一般:800円
北海道博物館との共通入場券:1200円
開村時間・休村日5月〜9月:
9:00〜17:00(入場16:30まで) 無休
10月〜4月:
9:00〜16:30(入場16:00まで)

休村日 月曜日(祝日・振替休日の場合は、翌日)
12/29〜1/3 休村
※さっぽろ雪まつり期間の月曜日は開村
関連サイトhttps://www.kaitaku.or.jp/

↓JR北海道バスに乗車し「北海道博物館」バス停下車 所要時間約5分
徒歩の場合は15分

13:00 北海道博物館

北海道博物館‐チセ
©一般社団法人札幌観光協会

「森のちゃれんが」という愛称で親しまれている総合博物館です。
自然環境と人のかかわりや、アイヌ民族の文化、本州から渡ってきた移住者の暮らしなどを調査、展示しているほか、館内には「アイヌ民族文化研究センター」が設置され、アイヌの人々の文化や習俗の調査研究にも特に取り組んでいます。

館内には多言語展示解説サービスが準備されており、日本語のほかに英語、中国語、台湾語、ハングル、ロシア語での解説を聴くことができるなど、年齢や国籍に関わらず北海道の歴史をわかりやすく知ることができます。

名称北海道博物館
住所〒004-0006
北海道札幌市厚別区厚別町小野幌53-2
電話番号011-898-0466
入館料一般:600円
北海道開拓の村との共通入場券:1200円
開館時間
・休館日
5月〜9月 9:30〜17:00
10月〜4月 9:30〜16:30

休館日:毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
関連サイトhttps://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/

↓JR北海道バスに乗車し「森林公園駅」バス停下車、「森林公園駅」から「苗穂駅」へJR函館本線に乗車、その後徒歩 所要時間約40分

16:00 サッポロビール博物館

サッポロビール博物館‐麦とホップ
©一般社団法人札幌観光協会

明治期から今日に至るまでのサッポロビールが歩んできた道のりがわかる、日本で最も歴史のあるビール博物館です。
博物館の建物と敷地内の開拓使館のレンガ造りの二棟の建物は明治時代の貴重な建造物として北海道遺産にも指定されています。
館内ではサッポロビールの歴史について学ぶことができるほか、復刻ビールを楽しみながら北海道のビールの歴史を感じることができます。

ラムや蟹などが楽しめるレストランも併設されているため、特に陽が短くなる冬季にはここで夕食を取るのも良いでしょう。

名称サッポロビール博物館
住所〒065-8633
北海道東区北7条東9丁目1-1
電話番号011-748-1876
入館料自由見学の場合は無料
営業時間・休館日11:00~18:00
休館日:月曜日と年末年始
関連サイトhttps://www.sapporobeer.jp/brewery/s_museum/

↓徒歩15分程度

17:30 苗穂駅

3.おわりにーコースの注目ポイントー

北海道博物館
©一般社団法人札幌観光協会

ここまでモデルケース形式で札幌のおすすめスポットをご紹介しました。
札幌市の東部「野幌森林公園」周辺エリアは、緑が豊かなだけでなく、3つの博物館が集まっているエリアでもあります。
今回は開拓の歴史というテーマからそのうち2つの博物館をご紹介しましたが、もうひとつの施設で、野幌森林公園のビジターセンターである「自然ふれあい交流館」を拠点に森林公園で自然観察を楽しむことも可能です。

日本の七大都市圏(札幌・仙台・関東・中京・近畿・広島・福岡)のひとつを構成する札幌市は、日本を代表する都会のひとつでありながらも、自然の豊かなことが特徴です。
路面電車などを利用しての都市内観光を楽しめるまちでありながらも、市内には高水準な自然植生が残されていることで知られています。

札幌市を訪れた際は市内の中心エリアだけでなく、郊外エリアにも足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

岩本まさき

岩本まさき

1993年兵庫県西宮市生まれ。奈良大学文学部地理学科卒業後、営業職を中心に勤務。
2022年に旅行会社へ転職後は、ツアーへの添乗や旅行系のライターとして務め、個人・少人数向けツアーも多数企画しています。
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