目次
1.はじめにーモデルコースの概要ー
この記事では岩手県の南東部にある内陸のまち、遠野市のおススメスポットをまとめています。モデルコース形式でのご紹介のため、そのままのスケジュールで周ってみるのはもちろん、レンタカーを使用すれば多くのスポットをより効率的に周遊することができます。
このモデルコースでは、日本の原風景を楽しめるまち、民話の里ともいわれる遠野市の名所をレンタサイクルで周遊します。
遠野は柳田國男が発表した『遠野物語』の舞台として知られるまちで、市域には今なお数多くの民話・説話が伝わっています。
遠野物語の内容は妖怪にまつわるものや不可思議な体験談を記したもの、神々を祀る風習など多岐に渡っており、「日本の民俗学の先駆け」とも称されます。
河童やマヨイガ、座敷童にオシラ様など、現在広く知られている妖怪や伝承は、遠野物語によってその知名度を高めました。
このツアーでは、そうした遠野物語に登場する説話の舞台や、遠野物語についての知識を深められる博物館、そして伝統的な遠野の暮らしを感じられる施設をルートに組み込んでいます。
遠野市はこのモデルコースで立ち寄る場所以外にも、魅力的なスポットが数多くあります。
今回はレンタサイクルでのモデルコースのため割愛していますが、遠野の自然や伝統的な暮らしを体感できる『遠野ふるさと村』や、赤い布を境内に結んで恋愛成就を祈願できる『卯子酉様(うねどりさま)』、遠野物語に登場する奇岩『続石』などは自動車での訪問の際は是非訪れる候補に入れてもらいたいスポットです。
時間に余裕があれば展示量の豊富な遠野市立博物館を観覧することで、さらに遠野と遠野物語への理解を深めることもできます。
さらに、遠野はビールの醸造時に添加され、独特の苦味の元となるハーブ「ホップ」の一大生産地であるほか、バケツで焼かれる「ジンギスカン」でも知られます。
遠野の名所を訪れた後はジンギスカンとビールの夕食を楽しむのもおススメです。
2.モデルコース
ルート:遠野駅→旅の蔵遠野→とおの物語の館→伝承園→(お食事処伝承園)→デンデラ野→ダンノハナ→たかむろ水光園→カッパ淵→旅の蔵遠野
交通手段:レンタサイクル
所要時間:6時間~
10:00 遠野駅
旅のスタートは遠野駅です。遠野は岩手県中部の中心都市である花巻市と、沿岸部の中心都市である釜石市を結ぶ途上にあり、それらを結ぶJR釜石線が市域を横断しています。
遠野駅にはJR釜石線で運行される快速列車「はまなす」の全列車が停車するほか、一部列車が遠野駅始発で運行されるなど、運行上の拠点駅となっています。
釜石線の起点である花巻市には東北新幹線の停車駅である新花巻駅があり、釜石線も乗り入れているため、特に新幹線との乗り換えアクセスに優れています。
名称 | 遠野駅 |
住所 | 〒028-0522 岩手県遠野市新穀町5 |
関連サイト | https://www.jreast-timetable.jp/timetable/list1049.html |
↓徒歩すぐ
10:05 旅の蔵遠野
遠野駅前の新しい観光拠点として、平成24(2012)年にオープンした施設です。
施設内には観光案内所、売店、シャワー室が設置されているほか、レンタサイクルを借りることができます。
レンタサイクルは冬季を除いた4月~11月の間に借りることができます。自転車は通常のものと電動のものが用意されていますが、今回のモデルコースの場合は郊外の中山間部へも向かうため、電動自転車をレンタルすると良いでしょう。
自転車を返した後はここでお土産を見てみましょう。
名称 | 旅の蔵 遠野 |
住所 | 〒028-0522 岩手県遠野市新穀町5-8 |
電話番号 | 0198-62-1333 |
営業時間 | 8:30~17:30 |
関連サイト | https://tonojikan.jp/toiawase/tabinokura.php |
↓自転車で3分程度
10:15 とおの物語の館
遠野物語で収集された遠野地方の民話を後世に伝承することを目的のひとつとして開設された博物館です。
館内では昔ながらの建物が展示施設として多く利用されており、メインの展示エリアである昔話蔵は、造り酒屋の建物を改装して遠野の昔話の展示を行っています。
その他にも古い建物が多く移築されており、柳田國男らも投宿した旅館建物を移築した旧高善旅館(柳田國男展示館)や、晩年の柳田國男が過ごした屋敷を東京から移築した旧柳田國男隠居所(柳田國男展示館)を見ることができます。
館内では遠野方言を話す語り部による昔話を直接聞くこともできるため、事前にイベントのスケジュールを確認して訪ねると良いでしょう。
名称 | とおの物語の館 |
住所 | 〒028-0523 岩手県遠野市央通り2-11 |
電話番号 | 0198-62-7887 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
入館料 | 一般:510円 |
関連サイト | https://tonokanko04.wixsite.com/my-site |
↓自転車で30分程度
11:45 伝承園
かつての遠野地方の農家の生活様式を再現している野外博物館です。
敷地内には遠野物語の語り手である佐々木喜善に関する資料を収集した佐々木喜善記念館や、1750年頃に建てられたといわれる南部曲がり家など、魅力的で見学すればより遠野物語を楽しむことができる建物を多く見ることができます。
なかでも注目はオシラ堂で、アニメ映画「千と千尋の神隠し」に登場したことでも知られる東北地方土着の神「おしらさま」が1000体お祀りされています。
遠野物語内でもおしらさまの逸話は伝わっており、馬と娘が悲恋の末に神となったとされています。
養蚕や農耕、子どもを守る神として信仰されてきたオシラ様を見てみましょう。
園内の伝承園食堂では、「ひっつみ」や「けいらん」といった、遠野ならではの食事を楽しむことができます。
名称 | 伝承園 |
住所 | 〒028-0555 岩手県遠野市土淵町土淵6地割5-1 |
電話番号 | 0198-62-8655 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
入館料 | 大人:330円 |
関連サイト | https://www.densyoen.jp/ |
↓自転車で30分程度
12:45 デンデラ野(蓮台野)
遠野物語の中で「姥捨て伝説」の場所として紹介されている場所です。
かつて遠野の7つの集落では、60歳を過ぎた老人は家を出てこの地に送られる風習があったとされ、この地に送られた老人達はこの地で身を寄せ合って暮らしました。
送られた人々はすぐに亡くならず、昼間は麓で農作業を手伝うことで食料を得ていたとされ、このことから蓮台野周辺の集落では田畑に作業に出ることを「ハカアガリ」夕方家に帰ることを「ハカダチ」という。と遠野物語にあります。
名称 | デンデラ野 |
住所 | 〒028-0552 岩手県遠野市土淵町山口 |
関連サイト | https://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/48,73644,303,656,html |
↓自転車で4分程度
13:10 ダンノハナ
遠野物語の話し手である佐々木喜善の生家にも近い、丘陵地一帯を指しています。
中世には城郭があったとも、囚人を処刑する場所であったとも伝えられています。現在は地域の共同墓地となっています。
佐々木喜善の墓も墓所内にあるため、興味のある方は探してみましょう。
名称 | ダンノハナ |
住所 | 〒028-0552 岩手県遠野市山口2地割 |
関連サイト | https://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/48,73697,303,656,html |
↓自転車で15分程度
13:45 たかむろ水光園
遠野の美しい自然と懐かしい暮らしを再現した宿泊施設です。
施設内では食事や庭園の散策のほか、日帰り入浴を楽しむことができます。入浴施設はエコを体感しながら入浴できるものとなっており、ソーラーシステムによる湯沸かし、ウッドチップボイラーや小型水力発電も導入されています。
長距離の自転車運転で疲れた身体を温泉で癒してみてはいかがでしょうか。
名称 | たかむろ水光園 |
住所 | 〒028-0553 岩手県遠野市土淵町柏崎7地割175-2 |
電話番号 | 0198-62-2834 |
入浴時間 | 10:00~21:00 |
入館料 | 大人:550円 |
関連サイト | https://www.tono-suikouen.jp/ |
↓自転車で25分程度
15:15 カッパ淵
常堅寺の裏手にあるこの小川では、かつてはカッパが多く住んでおり、人々を驚かせていたといわれています。
澄んだ水が流れ、鬱蒼とした林に囲まれたカッパ淵は、現在でもカッパが今にも現れそうな雰囲気があります。
近くの伝承園では「カッパ捕獲許可証」が220円で販売されており、許可証を購入すればキュウリをつけた釣り竿でカッパ釣りにチャレンジすることができます。
隣接する常堅寺には、この淵に住むカッパが寺の火事を消火して狛犬になったとの話も伝わっており、お寺の境内には頭がくぼんだ「カッパ狛犬」も見られます。
名称 | カッパ淵 |
住所 | 〒028-0555 岩手県遠野市土淵町土淵 |
関連サイト | https://tonojikan.jp/kanko/kappabuchi.php |
自転車で30分程度
3.おわりにーコースの注目ポイントー
ここまでモデルケース形式で遠野のおすすめスポットをご紹介しました。
岩手県を訪問するツアーは、その多くが盛岡や八幡平といった県央エリアを目的地としたものであり、県南エリアを訪問する場合も花巻や北上、一ノ関といった東北新幹線や東北自動車道に沿った地域がほとんどではないかと思います。
それら交通の便に優れた観光地と比べると、遠野に足を運ぶ機会は決して多くないのではないでしょうか。
筆者が初めて遠野を訪れたのは今から数年前のことですが、新幹線から編成の少ない釜石線に乗り換えて訪れる遠野への旅には独特の旅情を感じたことを覚えています。
遠野には歴史のある旅館も多く、遠野への滞在そのものが「遠野物語」や、宮沢賢治の作品に浸るような感覚がありました。
毎年9月中旬には「日本のふるさと遠野まつり」も行われるので、祭に合わせた訪問もおススメです。