目次
1.はじめにー高屋神社の概要ー
この記事では香川県西端の市観音寺市にあり、「天空の鳥居」で有名な「高屋神社(たかやじんじゃ)」について紹介します。
天空の鳥居をはじめとする境内の見どころと、神社の由来、歴史について解説します。
高屋神社は観音寺市と東隣の三豊市を分ける標高404mの稲積山(いなづみやま)の頂上に祀られている神社です。
平安時代中期に設立した格式、「延喜式(えんぎしき)」にも記されている古社ですが、境内の規模自体は決して大きくなく、近年までは注目される機会は多くありませんでした。
神社を取り巻く環境が一変したのはスマートフォンで写真を撮影し、SNSに投稿するのが一般化した近年のことで、神社の境内は「天空の鳥居」の美しい写真が取れるスポットとして若者を中心に世界各地の多くの人々に知られるようになりました。
境内から鳥居の向こうを見ると、遠くに愛媛県と香川県の県境地域の風景がみられるほか、手前に観音寺市の水田風景と瀬戸内海を望む絶景を楽しむことができます。
高屋神社のご祭神には、瓊瓊杵命(ニニギノミコト)と此花咲夜比女命(コノハナサクヤヒメ)、保食神(ウケモチノカミ)の3柱の神が祀られており、交通安全や海上安全、安産や金運、五穀豊穣などのご利益がある神社として知られています。
毎年4月中旬に行われる「高屋まつり」は観音寺市内に数多くある「ちょうさ祭」(太鼓台=ちょうさを担いで巡行させる祭。五穀豊穣や豊漁が祈願される)の中でも唯一春に行われるのが特徴で、桜の花びらの散り方でその年の豊作を占うものです。
満開の桜が咲き誇る参道を金銀の刺繍に彩られたちょうさが登っていく様子には、他の祭りにない勇壮さと美しさがあります。
神社までは土日祝日にはシャトルバスの運行がされているほか、観音寺市の乗り合いバスなどでJR観音寺駅から向かうこともできます。
また、山麓から50分の登拝道を登って参拝することも可能です。
2.由来と歴史
この章では高屋神社の歴史と、高屋神社のご祭神について紹介します。
高屋神社は平安時代中期の『延喜式 神名帳』に神社名と祭神の記録が見られる古い神社です。
創建時期は不詳ではありますが、神社が鎮座する稲積山は周辺の山々の中で目立つ山容となっており、さらに海を見下ろす立地でもあることから、山や海に神性を見出す、古くからの信仰の場であったことを伺わせます。
祭神であるニニギノミコトは、日本神話上では天照大御神(アマテラスオオミカミ)の命によって天孫降臨、日本の統治に乗り出した神であり、コノハナサクヤヒメはニニギノミコトの妻で、神話上で美しさを称えられる女神です。
ニニギノミコトが天孫降臨で現在の宮崎県高千穂に降り立ち、国土を歩いていた際にコノハナサクヤヒメを見つけ、その美しさに心奪われたニニギはその場でコノハナサクヤヒメへ求婚しています。
これにはコノハナサクヤヒメの父神である山の神、大山祇命(オオヤマツミ)も喜び、ニニギに対してコノハナサクヤヒメと共にその姉である石長比売(イワナガヒメ)も嫁がせようとします。
しかし、イワナガヒメは妹と違って醜かったため、ニニギはイワナガヒメをオオヤマツミの元へ送り返し、コノハナサクヤヒメとのみ結婚してしまいます。
実はイワナガヒメを妻とすれば、ニニギの子孫は岩のように永遠に不変の命を約束されるはずでした。しかしニニギは花のように美しいコノハナサクヤヒメのみを妻としたため、その子孫達は花のように繁栄するものの、限りある命となってしまったと神話上に伝えられています。
日本神話上で初代天皇とされる神武天皇はニニギから見て曾孫にあたります。神武天皇は127歳で崩御したと伝わりますが、こうした天皇の“寿命”はこの時のニニギの選択によって生まれたものとされています。
高屋神社の祭神が最初からニニギノミコト達であったのかはわかりませんが、空の近い高屋神社は天から降りたニニギノミコトを祀るのに相応しい神社のようにも思えます。
過去には神社が山の中腹や山麓などに移ったことがあったものの、神の祟りを恐れて再び神社が山頂に戻されたとの話も伝わっています。
3.境内のみどころ
この章では高屋神社とその周辺の見どころについていくつかご紹介します。
①ゆるぎ岩
高屋神社へは山麓から山道を登り、その後270段の石段を登ってアクセスすることができます。(高屋神社のすぐ下に駐車場があり、シャトルバスやタクシーのほか平日ならマイカーでのアクセスも可能です。)
ゆるぎ岩は山道を登った先、山頂も近づいた石段の途中にある大きな岩です。その名の通りぐらぐらと揺らぎますが、いくら押しても落ちることはなく「落ちない岩」として合格祈願のパワースポットとなっています。
②天空の鳥居
稲積山の山頂にある高屋神社は、参道や境内からの眺望に優れていますが、特に境内から鳥居越しに見る観音寺市街と瀬戸内海の雄大な景色によって知られています。
空と海を背景に立つ鳥居はいつからか「天空の鳥居」と呼ばれるようになり、現在では観音寺市を代表する観光スポットのひとつとなっています。
鳥居の前は絶景を背景に写真を撮る多くの人で賑わっていることが多いため、写真撮影は順番を守って行いましょう。また、写真撮影後は本殿へも忘れずに参拝しましょう。
鳥居周辺での写真撮影は、正午を過ぎると日が西に傾き、逆光での撮影となります。
光のあふれる神々しい写真が撮れる可能性がありますが、海に太陽光が反射するなど、全体的に白っぽい一枚となるかもしれません。
鳥居の周囲に人が少ないというメリットもあるため、朝早い時間の訪問がおススメです。
③高屋まつり
観音寺市内では「ちょうさ」と呼ばれる太鼓台を担ぐ祭が、毎年10月の中旬に行われています。それらちょうさを担ぐ祭の中でも、高屋まつりは唯一4月に行われることが特徴です。
高屋まつりは農作物の豊穣を祈る予祝祭として行われ、ちょうさを担ぐ際の桜の花の散り方でその年の豊作を占うものです。
桜が咲き誇る中、豪壮な飾りが施された重さ3トンのちょうさが参道を登っていく様子は迫力があります。
4.おわりにー参拝のポイントー
ここまで高屋神社について説明しました。
天空の鳥居で全国的な知名度を誇る神社ですが、訪れる際には鳥居を見るだけでなく本殿への参拝も忘れないようにしましょう。
山頂にある本宮のほか、山麓には下社、中腹には中社も残っているので、麓から参道を歩いてそれらを参拝し、信仰の歴史に触れてみるのも良いかと思います。
観音寺市には高屋神社のほかにも、有名な銭形砂絵や四国八十八か所の札所寺院である観音寺などの見どころもあるため、参拝後の立ち寄りもおススメです。
名称 | 高屋神社 |
住所 | 〒768-0002 香川県観音寺市高屋町2800 |
電話番号 | 0875-24-2150 (観音寺市観光協会) |
参拝時間 | 24時間 (御朱印などは本殿近くの自動販売機でお受けできます。) |
参拝の所要時間 | 15分以内(本殿周辺) |
主なアクセス方法 | 観音寺市内からシャトルバス運行あり |
参拝料 | 無料 |
関連するサイト | https://www.city.kanonji.kagawa.jp/soshiki/21/13387.html |