桜とお城と近代建築のまち、津軽の城下町弘前を歩くコース(青森県弘前市)

5 min

1.はじめにーモデルコースの概要ー

藤田記念庭園‐和館と岩木山
©岩本まさき

この記事では青森県西部、津軽地域の中心都市弘前のおススメスポットをまとめています。モデルコース形式でのご紹介のため、そのままのスケジュールで周ってみるのはもちろん、立ち寄るスポットを追加して他の近代建築を見てみたり、時間短縮のためにレンタサイクルを利用するなどのカスタマイズも可能です。

今回は、本州最北端の津軽地域、その中心都市弘前市の中心部を徒歩で周遊します。
桜や雪燈籠の名所であり、江戸時代以来の天守が現存していることで知られる弘前城はもちろん、市街に点在している近代建築の数々をルートに組み入れています。
また、津軽地域の代名詞的なお祭り「ねぷた祭り」についての施設も訪れる行程となっており、津軽弘前の歴史・文化・食をめいっぱい楽しめる内容で考えてみました。

弘前市はこのモデルコースで立ち寄る場所以外にも、魅力的なスポットが盛りだくさんの街です!禅林街や木村産業研究所、旧弘前偕行社や最勝院など、コース内で立ち寄っていない名所に立ち寄るのも良いですし、『ふらいんぐうぃっち』など、弘前市が舞台となったマンガ・アニメ作品の舞台に注目して周ってみたり、惣構えの城下町構造に着目して周ってみる、なんてのもよいのではないでしょうか。

2.モデルコース

ルート:弘前駅中央改札口→藤田記念庭園→弘前城→仲町重要伝統的建造物群保存地区→津軽藩ねぷた村→旧東奥義塾外人教師館→旧弘前市立図書館→弘前市立観光館
交通手段:徒歩、バス
所要時間:6時間~

10:00 弘前駅

弘前駅

旅のスタートは弘前駅からです。弘前駅には青森空港から弘南バスが運行する空港バスがアクセスしているほか、新青森駅や秋田駅方面からの特急電車「つがる」も停車するため、容易にアクセスすることができます。

名称弘前駅
住所〒036-8096
青森県弘前市表町
関連サイトhttps://www.jreast.co.jp/estation/station/info.aspx?StationCd=1344

↓100円バスに乗車し「市役所前」バス停下車 所要時間約15分・徒歩の場合は30分程度

10:20 藤田記念庭園

藤田記念庭園‐洋館
©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

市役所前から弘前城のお堀沿いに西方向(岩木山が見える方向)へ歩くと、3分ほどで藤田記念庭園が見えてきます。道中には旧第八師団長官舎をリノベーションしたオシャレなスターバックスもあります。
藤田記念庭園は津軽地域の文明開化の拠点となった弘前を感じられるスポットです。園内には洋館・和館・考古館の3つの建物があり、それぞれがレトロな雰囲気を醸し出しています。
庭園そのものも魅力的で台地上のエリアからは岩木山を借景にした風景を、台地下のエリアでは回遊式の庭園と、そこに滝が流れ落ちる風景をそれぞれ楽しむことができます。
赤トンガリ屋根の洋館内はカフェになっており、お庭を見ながらのティータイムも楽しめます。

名称藤田記念庭園
住所〒036-8357
青森県弘前市上白銀町8−1
電話番号0172-37-5525
入園料320円(弘前城、弘前城植物園との共通券は520円)
営業時間9:00~17:00(通常開園時)
年中無休
関連サイトhttp://www.hirosakipark.or.jp/hujita/

↓徒歩5分程度

11:00 弘前公園

弘前城天守
©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

かつての弘前城跡は明治時代に都市公園に整備され、公園内には天守のほか、弘前市立博物館や弘前城植物園、弘前市民会館などがあります。
弘前城の天守は江戸時代に築城された天守をそのまま残していることが特徴で、姫路城や松本城などと並んで「現存12天守」に数えられています。
公園内には多くの樹木が植樹され、特に約2,600本の桜が満開になる春には多くの人が訪れます。
また、弘前市立博物館・弘前市民会館・弘前市緑の相談所はいずれも日本のモダニズム建築の旗手として活躍した前川國男氏の設計によるものであり、公園内は前川建築をまとめて楽しめるスポットでもあります。

名称弘前公園
住所〒036-8356
青森県弘前市下白銀町
電話番号0172-33-8733
入園料320円(藤田記念庭園、弘前城植物園との共通券は520円)
営業時間9:00~17:00
年中無休
関連サイトhttp://www.hirosakipark.or.jp/hirosakipark/index.html

↓徒歩10分程度

12:00 仲町重要伝統的建造物群保存地区

仲町重要伝統的建造物群保存地区と岩木山
©岩本まさき

弘前公園の北側にある、江戸時代の武家屋敷とサワラの生垣が織りなす景観が美しい地域です。重伝建エリアは東西方向に広がっており、東側からは建ち並ぶ武家屋敷とまっすぐな街路、そしてその向こうに岩木山が聳える景色を楽しむことができます。

エリア内では4軒の武家屋敷が公開されていますが、階級の違いなどから敷地の広さや間取りなどが異なっており、見比べて楽しむことができます。武家屋敷はそれぞれに休館日が異なるため、事前に休館日を調べてから訪問するのがおススメです。

名称弘前市仲町伝統的建造物群保存地区
住所〒036-8334
青森県弘前市若党町など
電話番号0172-82-1642
入館料無料
営業時間
(武家屋敷)
10:00~16:00
8月13日、年末年始は休館
関連サイトhttps://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/bukejuutaku.html

↓徒歩5分程度

12:45 津軽旨米(うまい)屋

けの汁のイメージ
けの汁(イメージ) ©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

津軽藩ねぷた村の敷地内にある、津軽地域グルメが楽しめるお食事処です。「貝焼き」「けの汁」、「一升漬け」といった津軽の伝統グルメや、「あおもり牛ハンバーグ定食」など地元産の食材を使った料理を楽しめます。
筆者一押しは「貝焼きけの汁定食」です。釜炊きというふっくらとしたごはんと、具材の豊富な温かいけの汁の組み合わせが最高!小鉢などもついており、満足・満腹になる内容でした。

↓同敷地内

13:30 津軽藩ねぷた村

金魚ねぷたのイメージ
金魚ねぷた(イメージ) ©岩本まさき

津軽の「見る・聞く・食べる・買う・体験する」が揃っている、体験型の観光施設です。
村内ではねぷたについての展示がされ、ねぷた囃子や津軽三味線の生演奏が聴けるほか、金魚ねぷたや津軽凧への絵付け、ねぷた囃子の体験ができます。
津軽弘前の祭りや民芸に関して、盛りだくさんの展示で体験しながら学ぶことができるため、子どもはもちろん大人も楽しむことができます。
ねぷた祭りへの予習はもちろん、おみやげの購入にもおススメの施設です。

名称津軽藩ねぷた村
住所〒036-8332
青森県弘前市亀甲町61
電話番号0172-39-1511
入館料600円(旨米屋、売店の利用は無料)
営業時間9:00~17:00
年中無休
関連サイトhttp://neputamura.com/

↓徒歩15分程度

14:45 旧東奥義塾外人教師館

旧東奥義塾外人教師館
©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

弘前城の南側に広がる追手門広場には、弘前市立図書館や観光館などの施設が集まっているほか、歴史的な建物が移築されています。移築された建造物のひとつが旧東奥義塾外人教師館です。
東奥義塾は江戸時代の弘前藩校を母体にして明治時代に開校された私学です。教師にはアメリカ人などの宣教師を招き、英学主体の教育を実施するなど極めて啓蒙的な学校でした。


明治維新後、藩庁の機能を失った弘前は一時衰退しました。そうした状況下で弘前では陸軍の誘致を行ったほか、教育施設の誘致も行い、これらが「軍都」「学都」弘前と、弘前の近代建築が多い街並みを作り出しました。
東奥義塾は多くの人材を輩出し、弘前の発展に影響を与えたほか、一説には名産のりんごも東奥義塾の外人教師が持ち込んだことで、弘前での栽培が広まっていったといわれています。

名称旧東奥義塾外人教師館
住所〒036-8356
青森県弘前市下白銀町2-1
電話番号0172-37-5501
入館料無料
営業時間9:00~18:00
年末年始休館
関連サイトhttps://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/2015-0223-1019-41.html

↓同敷地内

15:15 旧弘前市立図書館

旧弘前市立図書館
©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

ルネッサンス様式を基調に建てられ、赤い八角形の双塔が印象的な色づかい、設計ともに可愛らしい印象を与える建築物です。
全体的には洋風でまとめられていますが、寺院建築に見られる木鼻装飾が取り入れられるなど、随所に和風建築のテイストも見られます。
設計は洋風建築を得意とした棟梁堀江佐吉で、付近にある「青森銀行記念館」は佐吉晩年の傑作として名高いものです。
佐吉は弘前を拠点に活躍し、多くの建築物を弘前に残しました。佐吉が率いた「堀江組」は現在も弘前にあり、弘前城の修理事業でも活躍しています。

名称旧弘前市立図書館
住所〒036-8356
青森県弘前市下白銀町2-1
電話番号0172-82-1642
入館料無料
営業時間9:00~17:00
年末年始休館
関連サイトhttps://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/kyuutosyo.html

↓同敷地内

15:30 弘前市立観光館

1階にお土産コーナー、2階に民工芸品コーナーを有する弘前観光の拠点施設です。
2階の民工芸品コーナーでは、津軽弘前で育まれた様々な工芸品が展示されており、特に津軽塗の48の製作工程が展示されている様子は圧巻です。

名称弘前市立観光館
住所〒036-8356
青森県弘前市下白銀町2-1
電話番号0172-37-5501
営業時間9:00~18:00
年末年始休館
関連サイトhttps://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=tourist_hall

16:00 お疲れさまでした。

3.おわりに

大正浪漫喫茶室
©公益社団法人弘前観光コンベンション協会

ここまでモデルケース形式で弘前のおすすめスポットをご紹介しました。
今回モデルコースという形で弘前市を紹介しましたが、筆者は関西在住ということもあり、最近まで青森県には中々足を踏み入れる機会もありませんでした。
「ねぶたの時期に行かんと見るものがないのでは?」
「白神山地にはちょっと興味あるけど…。」
というのが実際に津軽地方に足を踏み入れるまでの正直な印象でした。

しかし、そんな印象は弘前公園の前にたどり着いた瞬間に一変しました。お城の周りに、圧倒的な存在感を持って並び立つ近代建築群を見た時の衝撃は未だに忘れられません。
「弘前かぁ遠いなぁ。」
なんて言わず、ぜひ一度訪れてみてください。きっと後悔はしないはずです。

ブログ内には弘前市街の南西部、禅林街にある長勝寺についての記事もあるので、そちらもあわせてお読みください。

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